イギリス・レスター便り

イギリスのイングランドのちょうど真ん中あたりのレスターから、イギリスの文化や、日々の暮らし、またファンドレイジングについて更新して行きます。

Juncoがスコットランドに惹かれたワケ

今日も先週から行き始めた毎週金曜日のTravel Talks Leicesterに行って来ました。レスターが運営するいわゆる生涯教育センターで毎週金曜日の朝、いろんな人の旅行記の話を聞く会、と言ったところですね。平均年齢は70歳以上にみえる方々ですが、毎回質問も活発で、話をする同じくらいの歳の方もパワーポイントを使いこなし、ジョーク交じりの話は2時間あっという間。いろんな人とローカルな話もできて、楽しいひとときです。2回目の参加となった今日は、アジア人、若い人、とのキーワードにはまったのか、いろんな人に優しくしてもらいました。「つぎもきてね」と次々に手を振られたので、コミュニティに入れてもらえたようです。

http://traveltalksleicester.co.uk

さて、今日の旅行記はオークニー諸島でした。日本ではあまり馴染みのない島ですが、イギリス北部のスコットランドよりさらに北にある70もの島からなる地域です。

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このスコットランドの北に位置する部分がオークニー諸島です。ちなみにその斜め上にも別の島々があり、こちらはシェットランド諸島と言います。

今日の旅行記にもありましたが、オークニー諸島はスコットランドに残るゲールという人たちとも異なり、またヨーロッパの多くの地に上陸したバイキングとも異なる、独自の文化が時代ことに残っているといい、とても興味がある地域です。

 

私にはスコットランドという「地域」がイギリスの中でもとても興味深く、また色々な場所を訪れた地です。

ではなぜそうなったのか?というと。

 

時はさかのぼり、大学1年生の頃。当時私はイギリスのカンタベリーというイングランドの南東、フランスに近い場所で学んでいました。冬休みに、「せっかくだし遠い場所へ行ってみよう」ということで選んだのがスコットランドのエディンバラという街でした。夜行バスで早朝にエディンバラに到着した時、スコットランドに大寒波が来ていて、普通でも-5度ほどのところ、なんと-18度だったことは今でも鮮明に覚えています。

 

その旅の中で、お世話になったホステルのおじさんが、ゲールという人たちの血を継ぐ方で、今回の話のキーパーソンです。恥ずかしながら、当時の私はスコットランドについて何の予備知識もなく旅に出てしまっていました。そんな私にとって最初の衝撃はおじさんのひとこと、「私はスコットランド人じゃなく、ゲール人なんだ。」まず、「イギリス人じゃないの?」という疑問が私の頭にすぐ浮かびました。

そしてスコットランドではクリスマスはお祝いせず、新年をお祝いすることもそのとき知り、クリスマスの後だったので、お正月に向け、ホステルでは夜カウントダウンとしてスコッチウィスキーが無料で振る舞われ、おじさんが「スコットランドの歴史を知ってほしい」と見せてくれた映画が、「ブレイブ・ハート」でした。

 

「ブレイブ・ハート」は1995年に公開された映画だそうです。当時の私には英語の字幕なしは正直それほど理解ができたとは言えなかったものの、そのあとのおじさんの話もあり、あまりに衝撃的で、涙が止まらなかったことを覚えています。

映画の舞台は13世紀末頃のスコットランド。イングランドがスコットランドに侵攻していく中、ウィリアム・ウォレスという青年が抵抗運動を強めていき・・・という話です。

 

映画を見て、おじさんの話を聞いて、頭は大混乱を起こしていました。でも1つ明確に私が思ったこと、それは「アイディンティティ」とは何かということ。スコットランドの人たちが抵抗したのは、「守りたい何か」があったから。それまで、「自分」を意識などしたことなかった私には、そこまでその強い思いを持つ人たちに強く惹かれたのでした。

 

旅の最終日の夜、おじさんと話していて、「日本人は名前に意味があるだろう、君のJunkoはどう意味だ?」と聞かれ、実は自分の名前を英語にするのが嫌いだった私は一瞬躊躇しながら、「Pure Child」と答えました。そう私の名前「純子」は、英語ではその表現するしかなく、いつも恥ずかしさを感じていました。するとおじさんが驚いた顔で私に聞きました。「本当かい?」どうしたのかと尋ねると、おじさんは優しい英語でゆっくり教えてくれました。

「ゲールの人たちに伝わる伝説があるんだよ。冬、雪が降った日に真っ白い鳥がやってくる。でも、出会える人はほとんどいない。だから一生に一度でも出会えた人は、幸せになれるんだ。その鳥の名前が"Junco"なんだ。君の名前と意味、両方似ているだろ?きっと君は周りの人を笑顔にするんだね。いい名前をもらったね。」

当時、自分のことがあまり好きでなかった私には、このおじさんの話には、本当に驚きつつも、ちょうど頭を巡っていた「アイディンティティ」とも結びつき、「自分」を大事にしようと思うことと、自分とは何かを考えるきっかけになりました。 

 

それから、カンタベリーに戻ってからもスコットランドの歴史の本を読んだりして、ウィリアム・ウォレスやゲールの人たちの足跡を辿るためにスコットランドを何度か訪れました。スコットランドの荒涼とした大地と、温かい人たちに出会う中で、いつも「アイディンティティ」のことを考えていました。

 

もちろんまだまだ答えは見つからず、スコットランドのこともまだまだ勉強は足りません。でも、自分を大切にするきっかけをくれたことに、おじさんとスコットランドの地に今でも感謝しています。そうスコットランドのゲールの言葉ではALBA、アルパと発音し、意味は「私たちの場所」というそうです。

オークニー諸島も独自の文化が息づいている地、いつか行ってみたい場所です。おじさんのホステルの名前ももう忘れてしまったけど、おじさんと出会えたことはずっと忘れないでしょう。それともちろん鳥の話も。鳥のことは調べてみたことも何度かあったけど、もう探すのはやめることにしました。私とおじさんとの素敵な思い出、それで十分かなと思ったからです。