「ま、いいか!」くらいがちょうどいい

イギリス・レスターから帰国。シェアハウスでの暮らしの中から、日々の暮らし、ファンドレイジング、自身のHSPのこと、そして大好きなイギリスのことも引き続き書いていきます。

美味しい野菜をありがとう〜誰かとつながる第一歩

気づくと随分ブログを書いていませんでした。レスターはあっという間に冬です。今日は、最近ずっとブログに書きたいなぁと思っていたストーリーを書きたいなと思っています。それは私が出会った一人と私のやりとりです。

 

レスターにきてから、「人とつながるチャンス」を探していて見つけたのが、毎週金曜日に日本でいう生涯学習センターのようなところで行われている講義、「Travel Talks Leicester」でした。この会は、入場に予約などは必要なく、毎回異なる人が自分の旅行の思い出を写真を交えながら紹介してくれる、というものです。

私は9月の終わりから参加し始め、いまでは随分その場にも慣れ、声をかけてくれる人も増えてきました。でも、慣れて来たこそ、気づかされることもたくさんあります。

 

特に参加者は(平日ということもあり)おじいさん、おばあさんが多いのですが、いわゆる白い肌の方ばかりで、レスターは本当に多民族の街なのに、「どこにこんなにこのような住んでいるのかな?」と言うほどです。きっとちょっと階級のいい人たちなんだと思います。身なりも整っているし、私がドアを押さえて待っていたら、「アジア人なら当然ね、ありがとう」という人もいます。それでも、私にも声をかけてくれる人もいるし、「若い人が来ると嬉しいのよ」って言ってくれる人もいる。1週出れないで行くと、「会いたかったわ」とミルクティーを買ってくれる人もいます。ある意味、大学では学べないことを経験している気がするのです。

 

少し話を戻しますが、会場の生涯学習センターは、レスター市の運営で、100を超えるコースが開講されています。

それは、いわゆる生涯学習もあれば、難民でイギリスに来た人たちの就労のためのコース、外国人の英語コースなど、多様で、どれも安価か無料なのが特徴です。このセンターの中にはカフェもあるのですが、すごく「いろんな」人が来ていて、その雰囲気のなかに足を運ぶこと、それ自体も私の楽しみになっています。

 

そんな金曜日の講義に参加していたある時、たまたま席が近くなった人が、いわゆる肌の黒い方で、「あれ?他の人たちと雰囲気が違 うなぁ」とは思いつつ、彼といろいろ話していたら、いわゆるアフリカから難民でイギリスに来た人だと分かりました。彼は英語をこのセンターで一から勉強して、センターでいろいろな技術を身につけながら、難民申請が降りるのを何年か待ったそうでした。その間に、偶然野菜を育てていた人がその畑を譲る相手を探していることを知り、野菜作りを学び始め、今では無農薬の野菜を随分育てられるようになったと聞きました。

だからこのセンターに感謝しつつ、誰かに自分の野菜を味見して欲しくて、この金曜の会にたまに野菜を持って来ているそうでした。

 

でも、上に書いたような方がたくさんいらっしゃる会です。なかなか皆さん彼の野菜をもらおうとし ません。(「お金はお気持ちで」、と彼は言っているのもあり)挙句、「アフリカ人が作ったんでしょ?」と言う人までいるくらいです。なかなかハードルは高いなぁとだんだん気付き始めていました。一方で、彼のことを思い、たくさん持って行く人、お金を置いて行く人もいます。いろんな人がいますね。

 

正直、私も見た目に最初驚きました。虫はいるし、虫が食った穴はいっぱいあるし・・・。でも、彼の思いを聞いていたので、ちょっと思い切って彼に声をかけたときに「野菜、食べてみたいんだけど、イギリスの野菜分からないから、今度教えて」と頼みました。その次の週、私は体調を崩して会には行けませんでしたが、その次の週にはレシピとともに、野菜を朝一番でとって来てくれたのです。彼はすごく嬉しそうでした。

 

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これが彼がくれた野菜たちです。左から油菜(油が採れる野菜と彼は教えてくれました)、真ん中がほうれん草、右の大きいのがコヴォ(Covo)というそうです。この野菜はチンゲンサイ(英語でPak Choi)に味が似ているから、炒めものがお勧めと教えてくれました。

 

実は、(田舎育ちなのに)虫が大の苦手な私には非常に大変だったけど、パートナーの力を借りながらいただいた3種類の野菜を頑張って処理して、その夜のおかずにしました。

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一皿目はCovoと油菜を炒めて、卵を入れて、しょうゆとだしを少し入れました。彼が炒めてトマトを入れると美味しいと教えてくれたからです。

 

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二皿目。ほうれん草は茹でてツナと一緒におひたしにしました。見た目は日本のほうれん草とは違ったけど、味はしっかりほうれん草でした。

 

食べてみると「野菜の味」がしっかりして、とても美味しく、「野菜って美味しい!」って思えました。炒め野菜は余ったので、翌日こっちで買った袋ラーメンを作ってトッピングしたら、これがまた美味しかったんです。「キレイな野菜」に慣れすぎていたんですね。

 

野菜を持ち帰ってきて、「たくさんもらっちゃったけどどうしよう・・・?」と行った時、私の「優しさが素敵」と言って一緒に洗ってくれ、理解してくれたパートナーもありがたかった。

 

つい先日の金曜、この会に行った時、彼に「美味しかったよ」と伝えました。彼はヴィーガン(ヴェジタリアンよりさらに厳しく野菜だけいただく方)なので、「私はそうではないの」と断った上で、作った料理の写真を見せると、「いままで料理まで報告してくれた人はいなかったよ。いやぁうまそうだ。また欲しかったらいつでも言ってくれ。本当に嬉しいよ」と言ってくれました。私も嬉しかったです。

 

なんだろう、誰かとつながるって、相手に興味を持つことだと、改めて思ったのです。でも相手の引き出しをノックする時、どの引き出しを叩くかも大事だなと思いました。

 

最後におまけ。この会を運営している方がいるのですが、その方によると、この会は元々生涯学習センターのプログラムの1つで、その方が事務局をしていたそうです。しかしある時、予算が削られ、この会が無くなることになると聴き、その方がプライベートで存続させることにしたというのです。その理由は「誰かと誰かがつながる場所をなくしたくなかった」のと、「レスターっていろんな人たちが住んでるって言うけど、”違う”人たち同士って実はなかなか交わらないの。いろんな人につながりあって欲しいのに」と話してくれました。彼女の素敵な思いを聴き、さらにこの会へ参加できたことの意義の深さに触れました。私もいろんな人とつながりたいと改めて思いました。

 

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先日いただいたのが、無農薬のリンゴ。「きれいなのを選んでおいたよ」とくれました。後で食べるのが楽しみです。